東京高等裁判所 昭和63年(行ケ)77号 判決
一 請求の原因一ないし三の事実(特許庁における手続の経緯、本願発明の要旨及び本件審決の理由の要点)については、当事者間に争いがない。
二 本願発明について
成立に争いのない甲第二号証、第三号証によれば、本願明細書には、本願発明の目的、構成及び作用効果について、次のとおり記載されていることが認められる。
1 目的
(一) 本発明は光フアイバコネクタの改良に関するものである。
光フアイバ同士を光フアイバコネクタにより接続する場合に、両光フアイバの端面を直接接触されると端面でこすり合つて傷がつく。そこで、従来は、光フアイバ間を数~数十μm程度離して接続している。
ところが、この場合、接続部に反射損失を生ずるという問題がある。(甲第二号証第一頁一五行ないし第二頁四行)
(二) この反射損失を低減させるために、接続部にマツチングオイル、やわらかい樹脂等を入れる手段も講じられているが、構造が複雑になり、また接続作業も面倒である。
本発明は上述の問題を解決するためのもので、構造が簡単で接続作業の容易な反射損失の少ない光フアイバコネクタを提供することを目的としている。(同第二頁八行ないし一五行)
2 構成
(一) 本願発明の要旨(請求の原因二)記載の構成の採用(特許請求の範囲記載の構成に同じ)
(二) 図面に関連して本発明の実施例を第1図により説明する。
図中、1、1´は光フアイバ、2、2´は被覆、3、3´は同形状の中子である。光フアイバ1、1´の先端はそれぞれ中子3、3´の中心部に挿入固定されており、これらの中子3、3´の光フアイバ1、1´を含む端面は曲率半径Rの球面に鏡面研磨されている。中子3、3´はガイド4に摺動自在に嵌合し、ガイド4の外周に設けられたねじ部5には袋ナツト6、6´が螺合している。中子3と袋ナツト6との間、及び中子3´と袋ナツト6´との間には、それぞれ押ばね7及び7´が挿入されている。なお中子3、3´にはそれぞれキー状の突起8、8´が設けられており、この突起8、8´はガイド4に設けられた溝9、9´に嵌合している。したがつて中子3、3´はガイド4に回転方向に係止されている。
いま、袋ナツト6、6´をそれぞれ回転させて矢印方向に所定量だけ前進させると、中子3、3´は押ばね7、7´を介して押圧され、光フアイバ1、1´の先端は適当な圧力で押し付けられて点接触するが、各中子3、3´はガイド4に保持されかつその端面は球状となつているため、中子3、3´の端面は損傷を受けない。このとき光フアイバ1、1´のコア10、10´の外周部は第2図に詳細に示すように間隙2gを介し対向する。この場合、中子3、3´の端部の球面の曲率半径Rを適当に選定することによつて2gを光波長λの1/4(λ/4)以下とすることができ、光フアイバ1、1´の接続部の反射損失をなくすることが可能である。なお、11、11´は光フアイバ1、1´のクラツドを示す。
曲率半径Rは次(本判決別紙計算書参照)のように計算することができる。
従つて、<省略>
とすることによつて2gをλ/4以下とすることができ、両光フアイバ1、1´の接続部の反射損失をなくすことができる。(同第二頁一六行ないし第五頁一二行、甲第三号証)
3 作用効果
本発明によれば、袋ナツトを操作するだけの簡単な操作で両光フアイバを端面を損傷せずに接続することが可能で、かつ光フアイバ端面の鏡面の曲率半径を所定値………より大きくとり、かつ光フアイバの軸方向に押圧することによつて反射損失をなくすことができ、しかも構造は簡単であるという各種の優れた効果を奏するものである。(甲第二号証第五頁一三行ないし第六頁一行、甲第三号証)
三 認定判断の誤り1について
1 原告は、第一引用例の光フアイバ用コネクタの中子の端面は平面であり、かつ、第一引用例の明細書(甲第六号証)及び周知例である甲第一〇号証及び乙第一号証を参酌しても、第一引用例には、光フアイバの全面もしくは少なくともコア部分で接触していることが記載されていると認めることはできない旨主張する。
(一) 成立に争いのない甲第四号証、第六号証によれば、第一引用例の考案は、その実用新案登録請求の範囲を「一対の光フアイバの先端にそれぞれ固定されたガイドピンと、円周上の溝を、長手方向の全体にわたつて一以上の割りをそれぞれ有し、上記ガイドピンを互いに対向して保持する案内手段と、上記案内手段を納める保持具と、上記案内手段と上記保持具とを上記案内手段の溝の部分で結合する手段と、上記ガイドピンを保持する結合手段とを含む光フアイバ用コネクタ。」とするものであり、その第1図、第2図及び第5図(別紙第一引用例図参照)には、一対の光フアイバの先端をそれぞれ円形状のガイドピン(本願発明の中子と同じ)の中心部に挿入固定させ、このガイドピンを案内手段(本願発明のガイドに相当)内に互いに対抗させて保持させることにより、ガイドピンの中心をそろえ、かつ、ガイドピンを締結手段により押圧するようにし、光フアイバ同士を突き合わせて接続するようにした光コネクタが記載されており、そして、第1図、第2図及び第5図には、各フアイバが接触しているごとく図示されていることが認められる。
(二) 成立に争いのない乙第一号証によれば、乙第一号証記載の発明は、その特許請求の範囲を「光接続させる一対のオプテイカルフアイバをそれぞれ軸心に保持する一対の支持部の一方の支持部の端部を凹部とし、他方の支持部の端部を該凹部の支持部の孔内に係合するよう形式(形成の誤記と認める。)するとともに、少なくとも一方の支持部には、該支持部を内部に保持する外枠を設け、該支持部と該外枠との間隙に弾性体を設けたことを特徴とするオプテイカルフアイバの接続装置。」とするものであり、発明の詳細な説明の欄には、従来提案されている接続装置は、「オプテイカルフアイバの接続時にオプテイカルフアイバ同志が過圧着し破損したり、各々のオプテイカルフアイバが接続に適当な位置にならない等の接続不良が生じてしまう欠点を有していた。」(乙第一号証第二頁左上欄四行ないし八行)、「フアイバ支持具20、21もまた中空円筒より成り一方の端面20C、21Cを両支持具の接触端面として垂直平滑に仕上げ、端面20C、21Cの軸心にオプテイカルフアイバ10、11の保持孔20B、21Bを開口させる。」(同第二頁右下欄末行ないし第三頁四行)、「内枠31の円筒孔内31Cに沿いフアイバ支持具20が誘導され、両フアイバ支持具の端面20C、21Cが接触する。」(同第三頁右上欄一行ないし三行)、「オプテイカルフアイバ10、11はフアイバ支持具20、21の軸心に保持されているため両フアイバ支持具の端面の密着により各々のオプテイカルフアイバ10、11の光軸が一致し、確実な光接続が行なわれる。」(同九行ないし一三行)、「フアイバ先端の間隙による損失は、フアイバ支持具20、21の後側からのバネ40、41により、極めて少なくすることが可能であり、それらの接続損失は1dB以内に押さえることが容易である。」(同右下欄二行ないし六行)と記載されていることが認められる。
(三) 成立に争いのない甲第一〇号証によれば、甲第一〇号証記載の発明は、特許請求の範囲を「一対の光フアイバ保持具の軸心を一致せしめて相互に接続することにより一対の光フアイバを結合する着脱可能な光伝送路結合において、前記フアイバ保持具軸心の突合せ面を凹球状に研磨切除したことを特徴とする光伝送路結合器。」とするものであり、発明の詳細な説明の欄には、「一対のフアイバ保持具を接合する際は、それらの突合せ面(接合面)が各軸心に対して正確に直角に切断されていなければ、両突合せ面間に間隙ができ、光フアイバの結合効率を低下させる。」(甲第一〇号証第一頁右下欄六行ないし九行)、「各フアイバ保持具5、6の前面5´、6´は厳密な垂直平面に加工仕上げされているので、相互にほぼ全面にわたつて接触する。」(同第二頁左上欄一八行ないし右上欄一行)と記載され、また、「一般的に言つて一対のフアイバ保持具の突合せ面をきわめて正確に直角に切断することは加工上困難である。」(同第一頁一〇行ないし一二行)、「第3図(第2図の誤りと認める。)においてはフアイバ保持具の前面5´、6´においてフアイバ端面の直接の接触を防ぐため5´´、6´´の如く若干のスペースをおくものである。第4図(第3図の誤りと認める。)においてはフアイバ保持具の前面を若干の寸法aだけ削り、その削り取つた寸法だけフアイバのスペースをとることにより、接触を防止するものである。」(同第二頁右上欄末行ないし左下欄六行)と記載されていることが認められる。
(四) 以上の事実によれば、第一引用例には、実用新案登録請求の範囲に、各光フアイバが接触している点については明文の記載がないが、逆に、各フアイバが接触していないことを示す構成の記載がないこと、乙第一号証には、従前の技術としてオプテイカルフアイバ同士を圧着させて接続する技術が示されており、乙第一号証記載の発明もこのような各光フアイバを圧着して接続する技術に関するものであること及び甲第一〇号証記載の発明は、フアイバ端面同士を若干間隙をあけて突き合わせるためにフアイバ保持具の突合せ面を凹球状にしたものであり、しかも従前の技術としてフアイバ端面同士の間隙があけられていることが図面にも示されているが、「一対のフアイバ保持具を接合する際は、それらの突合せ面(接合面)が各軸心に対して正確に直角に切断されていなければ、両突合せ面間に間隙ができ、光フアイバの結合効率を低下させる。」旨の技術常識が記載されていることに照らせば、第一引用例の各光フアイバの端面は、図示のとおり接触していると解するのが相当である。
(五) したがつて、第一引用例には、「各光フアイバの端面同士を接触させ、両光フアイバを接続するようにした光フアイバ用コネクタ」が記載されているものと解するのが相当であり、この点における本件審決の認定判断に誤りはない。
2 原告は、中子の光フアイバを含む端面を完全な平面とし、該平面が光フアイバの軸方向に直角であるという要件を満たすべく工業的に加工することは困難であり、しかも、光フアイバ端面同士を接触させるべく過度に押圧を与えると、光フアイバ端面が破損してしまうという問題がある旨主張する。
中子の中心部にある光フアイバのコア部分において確実に接触させるためには、中子の光フアイバを含む端面が平面でかつその平面が光フアイバ軸方向に直角であることが必要であることは技術常識であり、それを実際上完璧なものに加工することは困難であることは、前記のとおり、甲第一〇号証にも記載されているからこれを認めることはできるものの、そのような加工が不可能であると認めるに足りる証拠はなく、また完璧なものすなわち全面接触するものでなく、一部非接触のものを加工することも含めて考慮すれば、第一引用例のものが、実際上は接触しない構成のものであると解することはできない。したがつて、原告の右主張は理由がない。
3 以上の事実によれば、第一引用例記載の光フアイバ用コネクタは、光フアイバ端面同士が接触する構成であると解することができるから、本願発明と第一引用例との相違点について、本件審決が「光フアイバを含むガイドピンの端面は球面に形成されていない点で相違するが、その余の構成について相違は認められない。」と認定判断したことに、原告主張の誤りはない。
四 認定判断の誤り2について
1 原告は、第二引用例における光フアイバ端面を凸面とする記載だけでは、本願発明同様に傷つきの問題が解消し得るとはいえない旨主張する。
(一) 成立に争いのない甲第五号証によれば、第二引用例は、「二重偏心光コネクタの損失特性」と題する一九七五年(昭和五〇年)の電子通信学会技術研究報告の一つであり、右報告書には、次の記載があることが認められる。
(1) 本報告は、まず多モードステツプの光フアイバの接続損失の要因を列挙し、接続損失を与える要因の許容範囲を明確にした。次にこのデータから得られた情報をもとに光フアイバの端面形成法の提案、二重偏心光コネクタの損失特性の検討、接続点における光波の整合方法の提案を行なつたものである。(甲第五号証八一頁左欄一六行ないし二二行)
(2) 光フアイバの接続の不完全性による損失に関しては、従来一部検討されてきている。しかしながら、光フアイバの接続端面の不完全性についての検討は行なわれていないようである。……光フアイバ接続の不完全を列挙すると次のようになる。……ⅳ) 光フアイバ端面の不完全性……b) 端面のうねり(同左欄二四行ないし右欄九行)
(3) b) 端面のうねり
光フアイバの端面が凸面になつている場合、光波の伝搬角度の方向によつて損失を受ける光線が存在する。(同八三頁右欄一六行ないし一八行)
図7は、凸面率d/a(aは光フアイバのコアの半径、dは光フアイバの突起の寸法である。)に対する接続損失を示したものである。光フアイバの端面は曲面に研磨されたもので、突起の寸法dは干渉顕微鏡を用いて測定した。(同八四頁左欄四行ないし七行)
(4) 光フアイバ接続端面研磨部を形成するための手法として、光フアイバ素線をコートしてあるジヤケツトをむいて光フアイバ素線をカツトする方法と、ジヤケツトごと研磨する方法がある。光コネクタに装着された光フアイバ素線はむき出した場合破損する可能性がある。着脱可能、取り扱いやすさ等を要求される光コネクタの構成法として、これは望ましい状態ではない。筆者らは、素線の破損の可能性をおさえるために、光フアイバを金属パイプに挿入固定し研磨を行なつていることは以前に報告した通りである。(同八五頁右欄一四行ないし二四行)
(二) 右事実によれば、第二引用例の図7に示される光フアイバは、端面が平面である光フアイバ同士の端面のうねりによる接続損失を測定するために製作されたものであるが、端面を球面とした一対の光フアイバを突き合わせた構成が記載されていることからすると、本願発明の出願前に、端面を球面とした一対の光フアイバを突き合わせた構成のものが存在していたと認められる。
もつとも、前掲甲第五号証によれば、第二引用例の図7には、端面を球面とした一対の光フアイバのみが記載されていて、中子は記載されておらず、また第二引用例の本文中にも、端面を球面とした一対の光フアイバを突き合わせた構成に中子を含むとの記載は認められない。
しかし、第二引用例には、前記のとおり、光フアイバ接続端面研磨部を形成するための手法として、「光フアイバを金属パイプに挿入固定し研磨を行つている」と記載されていることからすると、第二引用例には、中子を含め端面を球面状にすることが示唆されていると認められ、また、前掲甲第一〇号証によれば、「本発明は、……あらかじめ相互の光フアイバをフアイバ保持具、軸心の突合せ面より出張つた状態でフアイバを接着剤などにより固定した後、フアイバ保持具、軸心の突合せ面を球R状などの凹状に研磨、切除し」と記載されていることが認められ、右記載によれば、光フアイバをフアイバ保持具に固定した後に曲面に研磨することは技術常識であると認められる。
(三) ところで、光フアイバの端面の傷つきの点に関しては、前記のとおり、本願明細書には、従前の技術では、「光フアイバ同士を光フアイバコネクタにより接続する場合に、両光フアイバの端面を直接接触されると端面でこすり合つて傷がつく」が、本願発明によれば、「光フアイバ1、1´の先端は適当な圧力で押し付けられて点接触するが、各中子3、3´はガイド4に保持されかつその端面は球状となつているため、中子3、3´の端面は損傷を受けない。」と記載されていること及び中子がガイドに保持されていて接触面に過度の押圧が加わらないようにすることは第一引用例や乙第一号証に記載されているとおり周知であることに照らせば、本願発明では、光フアイバは端面が球状であるために点接触となり、接触点を除く光フアイバや中子同士は接触しないことにより傷つきにくいことが示されていると認められる。
もつとも、本願明細書の第2図の記載からも明らかなとおり、中子を含めてフアイバの端面を球面に加工すると、フアイバの先端は中子の先端よりも距離gだけ出張ることになり、過度の押圧が加われば端面がこすりあつて傷がつくものと解されるが、仮に、端面が点接触であるためにフアイバは損傷を受けないとすれば、第二引用例でも、端面が点接触であり、傷つきにくいということは、その端面が球面であるという突合せ構成からみて明らかである。
したがつて、本願発明と第二引用例とは、端面がこすりあつても傷つきにくいという作用効果の点で変わりがないから、本件審決が、第二引用例の記載は、「端面を球面とした一対の光フアイバを接続させる構成が示されていることは明らかであり、この構成によれば、端面がこすりあつても傷つきにくいことは本願発明と同様である。」と認定判断したことに原告主張の誤りはない。
2 原告は、第二引用例から中子の光フアイバを含む端面を本件特許請求の範囲の曲率半径をもつ球面とすることは到底想起し得ない旨主張する。
(一) 前掲甲第五号証によれば、第二引用例の図7は、端面が球面である構成に基づく接続損失を表したものであつて、凸面率を横軸に、接続損失を縦軸にした座標において、凸面率が大きくなると接続損失は直線的に増大することが実験結果から推定された直線によつて示されており、右直線は縦軸を〇・三dB付近で切つていることが認められ、右事実によれば、凸面率が小さくなると接続損失が減少する傾向にあるが、たとえ凸面率が限りなく〇に近づいても、接続損失は零とはならないと認められる。
(二) 一方、成立に争いのない甲第七号証によれば、光フアイバの間隙の長さ(空気層の厚さ)と光波長の長さλ及び接続損失との関係は、間隙の長さが0、1/2λ、λのとき極小値をとり、1/4λ、3/4λのとき極大値をとること、したがつて間隙を光の波長の1/4から狭めていけば接続損失を一義的に減少させることが可能であることが認められる。
これを本願発明の接続損失についてみるに、前掲甲第二号証、第三号証によれば、本願明細書に記載されたB点(球面と光フアイバ1のコアの外周との交点)は、本願発明において、対抗する二つの光フアイバのコア間隙が最大となる点であり、この間隙2gをλ/4とすると、曲率半径は<省略>となり、したがつて、曲率半径を<省略>とすることは、B点についていえば、間隙をλ/4から零に近いところまで、すなわち、接続損失が最大である間隙から零に近くなる間隙までの範囲内で任意の値を選択するよう曲率半径を選択すればよいということであり、この場合、曲率半径を大きくとれば損失は小さくなるが、曲率半径をいかに大きくし平面に近くしたとしても、曲面である限り、間隙が必ず生じ、接続損失がなくなることはない。
また、B点以外の点では、間隙はB点のものより常に小さいが、接触点以外は零になることはなく、これらの接続損失を累積した値もなくなることはない。
したがつて、<省略>の球面に加工したからといつて、接続損失をなくすことはできず、また、中心部以外は間隙が存在する以上、端面を平面にしたものに比べ、接続損失を減少させることもできない。
(三) 右事実によれば、本願発明が光フアイバの端面を曲面にした理由は、本願明細書に記載されているように、平面同士を接触させて接続損失をなくそうとすると、こすり合つて傷がつくので、これを減少させるために端面を曲面にしたにすぎず、前記のとおり、第二引用例の図7にフアイバ端面が平面に近くになるにつれ接続損失が小さくなることが示されている以上、フアイバ端面を平面にした場合での傷つきの問題を考慮しつつ、接続損失の少ない範囲で任意の曲率半径を選択して端面を球面とした光フアイバとすることは、当業者が容易に推考し得ることというべきである。
(四) したがつて、本件審決が、「任意の曲率半径を選択して先端を球面とした光フアイバを用いることは必要に応じて適宜なしうることである。」と認定判断したことに原告主張の誤りはない。
五 認定判断の誤り3について
第二引用例の図7に示される光フアイバは、端面が平面である光フアイバ同士の端面のうねりによる接続損失を測定するために製作されたものであるが、端面を球面とした一対の光フアイバを突き合わせた構成のものが存在していたことは前記認定のとおりであるから、第一引用例に第二引用例を組み合わせることに、困難性はないというべきである。
したがつて、本件審決が、「本願発明は第一、第二引用例記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。」と認定判断したことに、原告主張の誤りはない。
六 よつて、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却することとする。
〔編注1〕本願発明の要旨は左のとおりである。
二つの光フアイバの先端をそれぞれ同形状の中子の中心部に挿入固定するとともに、前記各中子の前記光フアイバを含む端面を<省略>以上の曲率半径(但し、λ=光波長、rc=光フアイバのコア半径)の球面に加工し、前記各中子を中心をそろえかつ前記各光フアイバ端面同士を接触させて押圧することによつて前記両光フアイバを接続するようにしたことを特徴とする光フアイバコネクタ。(別紙本願発明図参照)
〔編注2〕本件における図面は左のとおりである。
別紙 本願発明図
<省略>
<省略>
別紙 第一引用例図
<省略>
<省略>
<省略>
別紙 第二引用例図
<省略>
別紙計算書 省略